知恵袋

●保育園にいっている子どもだったら、できるのかなと考えてしまう時があります。●家にいたらできるのに、外に出るとしなくなるのはなぜでしょうか?

ママがいない環境

 そして、親子サロンに来てくれている子どもたちと、幼稚園や保育園に通っている子どもたちの違いは、「近くにママがいる」ということです。親子サロンのアンケートの回答に、「名前を呼ばれても返事をしないのは恥ずかしいから?家で練習する時はいつも返事をしてくれます。」という記述がありました。いろいろな理由が考えられると思いますが、ママから見れば、「やろうと思えば(もしかしたら)できるはずなんだけれど…」、ということも、子どもにしてみると、ママがいるからママにやってほしい、ママに手伝ってほしいという気持ちがあるからかもしれません。

 保育所や幼稚園に通う子どもの場合には、その場にママはいません。また他児から受ける刺激の影響もあります。お返事できるかしら?先生のお話をちゃんと聞けるかしら?とさんざんママを心配させていたのに、幼稚園に入ると「ハーイ!」と元気にお返事をし、ちゃんと椅子に座っている!今までの心配はいったい…、ということもよく聞く話です。負けず嫌いの子などは、他の子がしているのを見てがんばったりします。ママがいないということが、できるきっかけになることは実はたくさんあります。

 そう考えて、幼稚園や保育園に行くようになる時を待つ、という気持ちも大切です。

安心できる環境での毎日の積み重ね

 保育所や幼稚園に通い始めた幼児が、最初に適応しなければならない課題のひとつに、「一人でトイレに行くこと」があると言われています。家庭のトイレよりはるかに広いトイレ、窓も子どもの背丈より高く、園での位置によってはトイレの中が薄暗いということもあるでしょう。大勢で一斉にトイレに行く時は落ち着かないだろうし、一人で行く時は、今度は誰もいなくて怖く感じてしまうかもしれません。一瞬の戸惑いはあってもその後すんなりと順応していく子どももいれば、なかなか慣れずにおもらしの洗濯物が増えてしまう、という子どももいるのです。しかし、毎日保育園で生活するなかでの保育者の適切な援助のもと、少しずつ新しい環境に慣れ、園でのトイレの習慣を獲得していきます。あいさつ、鼻かみ、トイレ、いろいろな生活習慣の獲得は、つまり、自分が良く知っている環境での毎日の積み重ねが大切なのです。

子ども心を思い出す

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 トイレに関しては、きっと多くの大人が幼い頃に同じような戸惑いを感じたかもしれませんが(昔のトイレは今よりもっと怖かったような気がします)、無事に通り過ぎて今は忘れてしまっています。このような子どもの気持ち、視点に気づくことは大切です。

 引っ込み思案の子ども、家では元気でやんちゃだけれど、一歩外に出るとママの陰に隠れて(いわゆる内弁慶という表現もありますね)なかなか離れない子ども、いろいろな子どもがいて、それぞれのその子どもの生まれもった気質があります。人間の発達は、大きく分けて遺伝と環境に影響されると言われています。同じように育てても、きょうだいでも、やはり違うのです。思い出すと、ママも子どもの頃はそうだったなぁ…ということがあるのではないでしょうか。そういえばこんな気持ちだったのかな、と考えてみると、毎日大変な育児でも、少し先が見えるような気がするかもしれませんね。

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2010年11月24日(水) | 子どもの発達なぜなぜ?