知恵袋

●話を聞いてくれない。まず話を聞いてくれたら、失敗しないことがたくさんあるのに…。
●話しかけても、いまいち聞いているのかどうなのか、わからないときがあります。

認めてもらうということは、うれしく感じ、心が温かくなることだと思います。これは大人も子どもも一緒だと思います。子どもは特に、褒め、受け止め、励ましてくれる言葉や働きかけによって、達成感や満足感をより大きく感じ、次も頑張ろうという意欲が生まれます。子どもは日々新しいこと、難しいことに直面します。そして、周囲の信頼できる大人との関係を基盤に、それを乗り越えてゆくのです。認め、受け止め、励まし、共感的にかかわることが、一層大切になるのですね。

私は「ママ、見て!」「ねぇ先生、見てて~」という子どもの言葉に、このことがよく表れていると思います。3、4歳は自信と不安と好奇心で揺れ動いています。見ていてもらうだけで励まされますし、「やったー!」「よかったね!」と声をかけてもらえれば、自信と喜びも倍増します。このようなかかわりが、子どもの自尊心、安心、人への信頼感や愛情を育て、ひいては社会性や道徳性の発達にもつながると考えられています。なので、「子どもを受け止め共感する」、これはどの教科書にも、育児書にも必ず書いてある、子育ての基本!とされているようです。

しかし、当然のことですが、子どもたちは一人ひとり違います。慎重だったり、新しい環境、ものに対して不安が大きく、励ましても褒めても、なかなか踏み出さない子ども、まずは親の助言を頼りに遊びを進める子はいますし、逆にそのようなかかわりを比較的必要としない子どももいます。お絵かき、ブロック、自分のなかで満足感を十分味わう、独立独歩(?)でずんずん新しい友達の中に入っていく子もいます。前者のタイプの子どもをもつママの悩みはわりとよく聞くところですが、後者のタイプの子どものママもやはり悩みがあるようです。今回は、この後者のタイプの子どもたちについて考えてみたいと思います。特にどうやって話を聞いてもらうか、かかわるかという点についてです。

後者のタイプは、まず「大胆!」型です。別の言い方をすると「ちょっと慎重さにかける…」となり、ママとしては「落ち着いて!」「ちょっと待って、その前にママのお話きいて!」となります。励ましいらず、制止もきかず…です。この場合は、チャンスを待つことになるでしょう。失敗する前に、トラブルになる前に、と思うのが親心ですが、子どもは経験から学びます。

落ち着いたところで「どうしてこうなっちゃったのかな」「まずママ(先生)のお話をきいて、こうしたらよかったんだよ」、と話し、「ちゃんということきけばよかったな」と子ども自身が感じられる機会に、丁寧に伝えることが必要だと思います。この繰り返しで、自分の行動を振り返ったり、少しずつ話を聞くことができるようになるのです。

もうひとつは、「マイペース」型です。自分が描いた絵をママに見せます。ママ「お~、素敵ね!よくかけたね~!」、子ども「…(コクッとうなずく)」、ママ「ここにこういうの描いてみたらどうだろ?」、子ども「…(もう聞いていない・没頭)」となります。

ママにしてみれば、「こうしたらもっとおもしろくなるかな、楽しいかな」と考えて、子どもにやってみてもらいたいと思うし、受け止めに対してもうちょっと反応してほしいという気持ちもあると思います。しかし、この場合は、ママの受け止めに十分満足しているのです。そして、描きたいものがあって夢中、とても楽しんでいる状態だと考えられます。新しいこと、ちょっとしたママのアドバイスを得て前に進むことも大切ですが、今の自分の遊びを楽しむ、遊びこむ経験は、子どもにとって同様に重要です。子どもがアドバイスや言葉を必要とするときに問いかけてみればいい、という心持ちでもよいかと思います。

「大胆!」型も「マイペース」型も、もって生まれた子どものパーソナリティです。簡単に変わるというものではありません。

それに、数年後、保育所・幼稚園、小学校と、世界が広がっていくにつれて、周りもよく見えてきます。先生や、ママやパパのお話を聞いたほうがいい、友達の話を聞いたほうが楽しい、という経験が増えてくるはずです。毎日のなかで意識をすることはなかなか難しいことかもしれませんが、機会を待ち、気長に成長を見守る気持ちをもつと、ママの感じ方もかわるかもしれませんね。

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2010年11月24日(水) | 子どもの発達なぜなぜ?